不動産相続時の諸問題
相続不動産の評価方法
相続税に最も大きな影響を与える財産の一つが不動産です。不動産の財産価値が高ければ高いほど、相続税の負担も大きくなるため、不動産の財産価値をどう評価するかで大きな金額負担の差異があると言えるでしょう。土地は、宅地、田、畑、山林、雑種地などの地目のべつに評価することになっております。また、宅地は1画地を単位として評価します。1画地とは、自分で利用している土地、貸している土地、貸家の敷地といった利用の単位となっている一つの区画のことを言います。一般的に、土地の評価は税理士が路線価と土地面積から算出します。土地に接する道路に値段が決まっていて、これを路線価と呼びます。その値段を調べて不動産の面積を数式に当てはめれば、土地の大まかな価値を算出できるのです。ただし、不動産は個別性の非常に高い財産ですから、これだけでは適正な不動産価格は出せません。しっかりと現地に行って、高低差や、不動産の形、交通手段や周辺の施設をチェックし、それらの要素を加味して、最終的に「不動産の価値」を算定するのです。
- ◆相続不動産の評価における問題点
- 意外と知られていないのですが、すべての税理士が、この不動産評価を出来るとは限らないのです。なかには、相続税申告に慣れていない税理士もいて、その土地評価が適正ではないことがあるのです。(税理士が10人いれば、相続税評価額は10通りあると言われているくらいです。)そのことによって、相続人が払わなくても良い相続税を払わされて、後になって訴訟になったり、他の税理士が税務署から払い過ぎた分を取り戻す請求を起こしたりすることが少なくありません。
当センターでは、相続税に詳しい税理士や、相続不動産の評価に長けた不動産鑑定士と連携して、業務に取り組んでおります。もちろん全てではありませんが、相続税が高いと思ったら、不動産の評価を見直せる可能性もありますので、お一人で悩まずご相談ください。
相続不動産の評価を下げる方法
相続税の負担を軽くするためには、出来るだけ相続税評価額を下げておくことが肝心です。もちろん、違法に減らすのではなく、法律で認められている事項を漏れなく適用していくのです。下記に、代表的な評価減の方法論を掲載しておきますので、参考にしてください。
建物を他人に貸している場合
貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
- 土地を他人に貸している場合
貸宅地の評価額=自用地価額×(1-借地権割合)
※自用地・・・他人に貸さずに、自分で使用している宅地のこと - 土地を借りている場合
借地権の評価額=自用地とした場合の評価額×借地権割合
※貸している土地であっても建物がない場合には借地権は発生しない
※借地権割合は、路線価図や評価倍率表に表示されている - 賃貸物件を所有しているとき【貸家建付地評価減】
地主が建物を建てて他人に貸している時の土地
貸家建付地=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※賃貸割合=賃貸されている各独立部分の床面積の合計÷家屋の各独立部分の床面積の合計 - 生活に必要な資産に対する配慮【小規模宅地の評価減】
生活の基盤となる最低限必要な財産を相続税から守るため、一定の要件をみたした場合には、被相続人の居住用宅地や事業用宅地のうち、一定の面積までは通常の評価より一定の評価減を行うもの。
宅地の状況:種類:限度面積:減額される比率
宅地の状況 | 宅地の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|---|
居住用宅地 | 特定住居用宅地 | 240㎡ | 80% |
東日本大震災被災者 | 特定事業用宅地 | 400㎡ | 80% |
特定同族会社事業用宅地 | 400㎡ | 80% |
貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
不動産の分筆と境界問題
不動産の境界問題
相続では、相続財産である不動産の境界が原因でトラブルになることがあります。 公図や登記上では、しっかりと境界があったとしても、実際に現地を見てみると、土地と土地の境界が全く違うこともあります。隣の不動産が侵食していたり、置石が崩れていて境界が解らないなどの場合がありますから注意が必要です。
相続では、相続財産である不動産の境界が原因でトラブルになることがあります。 公図や登記上では、しっかりと境界があったとしても、実際に現地を見てみると、土地と土地の境界が全く違うこともあります。隣の不動産が侵食していたり、置石が崩れていて境界が解らないなどの場合がありますから注意が必要です。
- ◆境界がはっきりしない場合の対処法
- そんなときは以下のような方法で解決できます。
- 土地家屋調査士に相談する(当センターでご紹介も可能です)
- 法務局へ「筆界特定」を申請する
- 裁判所に境界確定の訴えを起こす
境界鑑定委員が資料を集め、現地を測量し、公正妥当な位置を決めます。
境界鑑定委員は裁判所から依頼を受けた土地家屋調査士が務めます。 - 裁判外の調停を各県単位の土地家屋調査士会で設置しているところも増えてきています。
いずれにしても、境界問題で困ったことが生じた場合は、相続の専門家に相談して公正な立場で判断してもらいましょう。
相続不動産の売却
相続に関する不動産のご相談で最も多いのが、相続した土地・建物を実際には使わないので、売却したいというものです。不動産の売却というイベントは、人生で何度も経験することではないため、こちらの経験値が不動産会社に比べると圧倒的に少ないのが現実です。より良い売却の方法、より良いタイミング、より良い特例の使い方など、ある程度専門家に相談して最低限の情報を把握した上で、実際の売却に進みましょう。
- だれが相続するか決まっていない不動産を売却する場合
相続財産を未分割のまま売却する場合には、各相続人が法定相続分に基づいて共同で相続し、売却したものと考えられます。この割合に基づいて売却代金等を按分し、それぞれが税金を計算して申告することになります。現にその不動産に居住している人は居住用の特例が使えます。なお、売却してしまうと法定相続分でそれぞれが相続することを同意したと判断されます。後に分割協議をして法定相続分と異なる割合で代金を分割することは原則的には認められませんのでご注意ください。
- 相続してすぐ売却するときの注意点
亡くなった人の自宅土地について小規模宅地の特例を使う場合には、相続税の申告期限(亡くなった日の10ヶ月後)までにその土地を売却すると、80%の減額が使えず、50%の減額になってしまうことがあります。たとえ減額できると言っても、30%の差は大きいので、注意して進めなければなりません。小規模宅地の特例は、土地の評価額を最大で80%減額するもので、実際にこの特例を使ったおかげで相続税がゼロになったというケースが良くあります。配偶者がその土地を相続する場合にはいつ売却しても80%の減額ができることになっているので心配ありません。この制度の適用を受けるにはその他にも様々な要件を満たす必要がありますので、必ず専門家に確認してください。
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