相続税の申告・納税について
相続税の仕組みと申告
相続税は、相続または遺贈により財産を取得した場合にかかります。相続税には基礎控除があり、遺産の評価額が基礎控除の金額以下であれば相続税は課税されず、税務署に対する申告も必要ありません。 (ただし、相続発生前に「相続時精算課税制度」を利用していた場合には、申告が必要です。)また、評価額が基礎控除を超える場合でも、税務上の特例(配偶者控除、小規模宅地の評価減)により、相続税がかからないケースもあります。
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
(平成24年6月現在)
法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。また、法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数は次のとおりとなります。
基礎控除額=5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
(平成24年6月現在)
法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。また、法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数は次のとおりとなります。
- 被相続人に実子がいる場合は、養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
- 被相続人に実子がいない場合は、養子のうち2人までを法定相続人に含めます。
- 相続税の申告
相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告を行う必要があります。申告書の提出先は、お亡くなりになられた方の死亡当時の住所地を管轄する税務署です。相続税は、原則的に金銭で申告期限までに一括で納付しなければなりません。
例外としては、「延納」と「物納」という方法があります。- 延納とは
金銭で納付することが困難な場合に、担保提供を条件に元金の均等年払いが可能となる制度です。 - 物納とは
延納も難しい場合に、 相続財産を現物で国に納付する方法です。
<物納の順番>- 国債や地方債、不動産、船舶
- 社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
- 動産といった順番で納付することが定められています。
- 延納とは
相続税の課税対象財産
相続(遺産)財産で、相続税の課税対象となる財産と課税対象にならない財産があります。生命保険などは、本来は相続で取得したものではありませんが、相続した財産とみなされて課税される場合があります。これをみなし相続財産といいます。また、被相続人(亡くなった人)が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与された財産も、課税の対象とされます。このように、相続税は原則として、被相続人(亡くなった人)の財産を相続等によって取得した場合に、その取得した財産に対してかかります。この場合は、現金、預金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほかにも貸付金、特許権、著作権、など金銭で見積もることのできる経済的価値があるすべてのものをいいます。
- 相続税の対象となる財産の具体例
- 相続や遺贈によって取得したものとみなされる財産
被相続人が死亡してから3年以内に支給が確定した死亡退職金(但し要件を満たすものについては一定の控除があります。) 生命保険契約の死亡保険金、生命保険金に関する権利(被相続人以外の人が被保険者の場合)などの解約返戻金など
- 被相続人(亡くなった人)から亡くなる前3年以内に贈与により取得した財産
この財産には、原則、贈与された時の価額を相続財産の価額に加算されます。
- 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産
被相続人(亡くなった人)から、生前に相続時精算課税の適用を受ける財産を贈与により取得した場合には、その贈与を受けた時の価額を相続財産の価額に加算されます。
- 相続や遺贈によって取得したものとみなされる財産
- 相続税の課税対象とならない財産
相続税の課税対象となる財産があるとすれば課税対象にならない財産もあります。これを非課税財産ともいいます。遺産分割できる財産の中にもある非課税財産は、墓所、寄付金、公益事業用財産など、相続税の課税対象とするには社会通念上望ましくない財産です。なので、財産を現金で持っているよりも墓所を生前に購入するなどしておくことは節税対策にもなるのです。寄付をした財産についても、相続税は非課税となります。相続した財産を国や市町村、公益法人に寄付した場合です。また、被相続人が亡くなったことによって受け取ることになる生命保険金の一部も非課税です。被相続人(亡くなった人)が受け取るはずであった退職金などを遺族が代わって受け取る死亡退職金も同様に、一部が非課税とされています。その他にも、教育機関やボランティアなど公益事業に従事している方が、相続した財産を事業用途に用いることが明らかである場合にも相続税は非課税となります。 - 具体的には…
- 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
ただし、骨董的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものについては相続税がかかります。 - 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって財産をもらってから2年を経過するまでにその財産で公益を目的とする事業のために使われることが確実なもの
- 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
- 相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
- 相続や遺贈によってもらったとみなされる退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
- 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
なお、相続人のいずれかが引き続きその幼稚園を経営することが条件となります。 - 相続や遺贈によってもらった財産相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは、相続や遺贈によってもらった金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの
- 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
相続税評価額の算出
相続税の申告は時価ではなく、相続税法や国税庁の通達に従った評価額です。すなわち相続税評価額をもとに行います。 相続税の申告で最も厄介なのはこの相続税評価額の計算であり、これはかなりの専門知識が要求されますので、ここは専門家の力を借りるのが無難かと思います。財産評価の詳細は「財産評価基本通達」にありますが、以下にその主なものをご紹介いたします。
- 土地の評価
- 路線価方式
主に市街地的形態を形成する地域で採用される方式で、毎年各国税局が作成する路線価図に基づいて土地を評価します。
路線価×(注)補正率・加算率×地積
(注)土地の間口、奥行、地形等で利用しにくい土地は一定の方法により評価額が低くなります。逆に、二つの路線に面している角地などは、土地の利用価値が高くなるため評価額も高くなります。 - 倍率方式
都市郊外の地域で路線価が定められていない地域で採用される方式で、地域ごとに定められている倍率表に基づいて土地を評価します。
固定資産税評価額×倍率 - 借地の評価
1.又は2.の評価額×借地権割合 - 貸地の評価
1.又は2.の評価額×(1-借地権割合) - 土地所有者の貸家が建っている土地の評価(貸家建付地)
1.又は2.の評価額×(1-借地権割合×30%※)
※大阪国税局管内の一部については40%
- 路線価方式
- 建物の評価
- 自宅用家屋
固定資産税評価額×1.0 - 貸家
家屋の価額×(1-30%※) ※大阪国税局管内の一部については40%
- 自宅用家屋
- 上場株式の評価
次の1.~4.のうち、最も低い金額で評価します。- 課税時期の終値
- 課税時期の属する月の毎日の終値の月平均
- 課税時期の属する月の前月の毎日の終値の月平均
- 課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の月平均
- 生命保険金の評価
受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数) - 退職手当金の評価
受給金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数) - 生命保険金の評価
- 生命保険契約に関する権利(保険事故が発生していないもの)
解約返戻金相当額
その他の評価
(1)預貯金 元金+解約利子の手取額 (2)利付公社債 発行価額(上場されているものは、最終価格と平均値の低い方)
+既経過利子の手取額(3)割引公社債 課税時期の最終価格(上場公社債)
または、「発行価額+既経過償還差益の額」(その他)(4)貸付信託 元金+既経過収益の手取額-買取割引料 (5)証券投資信託 上場されているものは3の上場株式の評価に準じ、
それ以外は解約請求金額(6)ゴルフ会員権 取引相場×0.7 (7)書画・骨董品 専門家による鑑定価額 - 生命保険契約に関する権利(保険事故が発生していないもの)
- 小規模宅地の評価の特例
相続人の生活や事業を守る観点から、被相続人や親族が居住用もしくは事業用等として使用していた宅地については、被相続人が残した宅地全体のうちで一定の部分について評価額を80%又は50%減額する特例があります。小規模宅地の評価減をけることのできる宅地等が複数ある場合には、路線価、限度面積要件、減額割合を実受際に計算してみないとどの方法が最適か分からないため、一度専門家に相談された方が良いと思われます。一度選択したら原則として適用対象土地を変更することはできませんので、慎重に検討する事が必要です。
※減額が50%か80%かの判定は大変複雑ですので、専門家にご相談ください。
相続税早見表
相続税には基礎控除やさまざまな特例があるため、一般的には税金がかからないケースが多いのですが、遺産の総額がわかったら、おおまかな相続税額を計算してみましょう。早いうちに把握することで、節税をはじめ対策の選択肢も増えます。
ここでは法定相続人が法定相続分により相続する場合について確認します。
- 相続税の速算表
各法定相続人の法定相続分に対応する金額法定相続分金額 税率 相続税控除額 1,000万円以下 10% 0万円 1,000万円~3,000万円以下 15% 50万円 3,000万円~5,000万円以下 20% 200万円 5,000万円~1億円以下 30% 700万円 1億円~3億円以下 40% 1,700万円 3億円超 50% 4,700万円 - 遺産に係る基礎控除額
5,000万円+1,000万円×法定相続人数法定相続人数 課税最低限 1 6,000万円 2 7,000万円 3 8,000万円 4 9,000万円 5 10,000万円 6 11,000万円 7 12,000万円 8 13,000万円 9 14,000万円 10 15,000万円
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